2026.05.05
コラム高齢者のフットケアが転倒予防につながる ― 足元から始める健康習慣
「足の爪が切れなくなった」。高齢のご家族を持つ方から、この相談をいただくことが増えています。
一見、些細な悩みに思えるかもしれません。しかし、足の爪や皮膚のトラブルは、歩行バランスの乱れや痛みによる活動量の低下を引き起こし、最終的には転倒リスクの上昇につながることが、近年の研究で明らかになっています。
厚生労働省の調査によると、高齢者の要介護状態の原因として「骨折・転倒」は上位に位置しています。そして転倒の背景には、筋力の低下だけでなく、足元の不具合が隠れていることが少なくありません。
見過ごされがちな足のトラブル
高齢になると、足には様々な変化が現れます。
爪が分厚くなる「肥厚爪」。爪が巻いて皮膚に食い込む「巻き爪」。かかとや足裏の角質が厚くなり、ひび割れを起こす。足指の変形により、靴の中で圧迫が生じる。
これらのトラブルは、痛みや違和感を生み、無意識のうちに歩き方を変えてしまいます。かばうように歩くことで体のバランスが崩れ、つまずきやすくなる。この悪循環が、転倒事故につながるのです。
問題は、こうしたトラブルが「年だから仕方ない」と放置されやすいことです。足は目が届きにくい場所であり、自分ではケアしにくい部位でもあるため、気づいたときにはかなり進行しているケースも珍しくありません。
フットケアでできること
専門的なフットケアでは、以下のようなことを行います。
爪の適切なカットと形の調整。分厚くなった爪の削り整え。角質の除去とひび割れの予防ケア。足浴による血行促進とリラックス。保湿ケアによる皮膚の柔軟性の維持。足全体のトリートメントによるむくみの軽減。
これらのケアを定期的に行うことで、足元の快適さが保たれ、歩行時の安定性が向上します。「足が痛くないから、今日は少し歩いてみよう」。その気持ちが、活動量の維持につながり、結果として筋力の低下を防ぐことにもなるのです。
「気持ちいい」が続ける力になる
フットケアには、身体的な効果だけでなく、心理的な効果もあります。
足浴の温かさ。トリートメントの心地よさ。きれいに整えられた爪を見たときの小さな喜び。こうした体験が、「また次もお願いしたい」という気持ちを生み、ケアを継続するモチベーションになります。
介護予防において最も大切なのは、「続けられること」です。どんなに効果的なケアでも、一度きりでは意味がありません。フットケアは、心地よさという動機づけがあるからこそ、自然に続けていける健康習慣なのです。
ご家族だけで抱えないでください
「親の足の爪を切ってあげたいけれど、怖くてできない」。そうおっしゃるご家族は多くいらっしゃいます。高齢者の爪は硬く、形も複雑になっていることが多いため、無理に自分でケアしようとすると、かえって傷をつけてしまうリスクがあります。
専門の知識と技術を持ったケアリストに任せることは、決して「手を抜く」ことではありません。大切なご家族の安全を守るための、賢い選択です。
Aicocoのフットケアは、看護師または介護士の資格を持つケアリストが、ご自宅や施設に訪問して行います。足の状態を丁寧に確認した上で、その方に合ったケアをお届けします。足元の小さな不安が、大きな安心に変わる。その第一歩を、一緒に踏み出しませんか。
